2023年10月2日
アメリカ滞在中に、現地の老人ホームや墓地を訪問する機会がありました。その期間に筆者が感じた「戦争が功績となる社会」について、書き起こしてみます。 戦争が功績となる社会を垣間見た3つのエピソード 現役時代:軍人である事への誇り アメリカ滞在期間中、老人ホームにお邪魔する機会がありました。訪問したその施設で、80代〜90代のアメリカ人のお年寄りに出会いました。一緒にお喋りする機会があった数人の内、2名の方をご紹介したいと思います。 アメリカ社会では、「軍人であること」は、大変誇らしいことであるようです。祝日として、戦没将兵追悼記念日 Memorial Dayや退役軍人の日 Veterans Dayが設定されており、そこでは大統領も含めて国民が軍人に対して敬意を払います。軍隊の仕事は、社会的に尊敬される職業と考えられているようです。 2人のおじいさん・おばあさんは、戦争の話をしていたわけでも、軍隊の話をしていたわけでもなかったのですが、自然とそれぞれのエピソードを語り始めました。自分の人生を語る際に、一番最初に話したいことが「自分自身の参戦経験」と「息子が軍隊で働いている事」だったわけです。 ちなみに...軍人に敬意を払う祝日があるのは、アメリカだけではありません。筆者がパッと思いつくだけでも、フランス、ベルギー、スイス、イギリス、ロシア、ベトナム等、他の国にもあります。日本では、戦争で亡くなった人を悼む日としては、祝日ではありませんが、8月15日の「終戦の日」が挙げられます。 退役時代:軍出身者への手厚い保障 軍人とその配偶者は、手厚い保障を享受する事ができます。戦争に参戦した実績がある退役軍人の方が、戦争に参戦していない退役軍人より手厚い保障となります。実際に戦争に参戦した軍人は手厚い年金を給付され、亡くなるまで一生その制度を活用できます。また、老人ホームの施設の方の話によると、本人または配偶者が軍隊出身であることは「ラッキー」であるようです。一般のお年寄りがお金の扱いを誤ると生活苦になる可能性もあるのに対し、退役軍人とその配偶者は国の手厚い保障のおかげで、経済的に困窮する事はまず無く、安心して老後を過ごす事ができるとのことでした。 死後:墓石の功績に「参戦」 戦争に参加したことは、「功績」となります。 親戚のお墓参りをした際、近隣の墓石に戦争への参加を功績として刻んでいるのを多く見かけました。 実際に記載してあった戦争の名前 と、思った方もいるかもしれません。 ただ、墓石に記載されている年号を見ると、戦争が原因で亡くなったわけではないことが分かります。 戦争参戦を誇りに思っているアメリカ人に覚えた違和感…