「妊娠検査薬で陽性が出た!」となって喜んだ直後、新米妊婦が最初に迷うこと。
それは、どこの病院に行くのか、どこで出産するのかということ。
どの病院で診てもらおうかしら…?
掛かりつけの婦人科がある方は迷わないかもしれません。
一方で、大塚製薬株式会社の『女性の健康プロジェクト – ヘルスリテラシー調査』によると、日本人女性で産婦人科のかかりつけ医が「いない」と回答する人が過半数を超えており、いる人でも「症状がある時のみ受診する」ケースが大半で、予防や相談目的で定期的に受診する人は少数派のようです。
女性のヘルスリテラシー調査 | 2024年版 ー 大塚製薬株式会社 女性の健康推進プロジェクト調査レポートより
従って、上記の通り過半数の日本人女性が「掛かりつけの婦人科」がいないため、妊娠・出産の当事者となった時にどこに行けばいいのか迷ってしまうという現象があると思われます。
当該記事では、以下の項目を整理してご紹介したいと思います。
- 妊婦健診・出産場所はどこがいい?
- 妊婦健診・出産場所の主な選択肢?
- 妊婦健診・出産場所の選び方【5つの判断軸】
- 筆者が助産院を選んだ理由【体験談】
妊婦健診・出産場所はどこがいい?【結論】
結論からお伝えすると、正解は『人それぞれ』です。
全然回答になってないじゃん!
と憤慨している貴方。
なぜ『人それぞれ』が結論なのかというと、妊婦ご自身のご年齢、健康状態、重視する点等が異なる以上、選ぶ場所が異なるからです。
だからこそ、まずは選択肢を知り、ご自身に合った最適解を選ぶ事が大切です。
妊婦健診・出産場所の主な選択肢?
さて、『人それぞれ』と結論を先に記載しましたが、主にどのような選択肢があるのかをまず知りましょう!
そこからご自身の希望に沿った産院を絞っていくのが良いと思います。
主な選択肢として、3つあるんだね
一つ一つ、一緒に見ていこう!
総合病院での妊婦健診・出産
◾️特徴
総合病院や大学病院は、医療体制が最も整っている出産場所です。
産婦人科だけでなく、小児科や麻酔科、NICU(新生児集中治療室)などが同じ施設内にあり、万が一のときもすぐに対応できる安心感があります。
妊婦健診は医師主導で行われ、検査や管理も比較的厳密と言われています。
その分、健診時間は短めで、流れ作業のように感じる人もいるかもしれません。
筆者も、妊婦健診ではないけど、総合病院の産婦人科を訪れた経験があるんだって。
病院にもよると思うけど、予約したにも関わらず、かなり待ち時間が長かったって言ってたよ。
何より、医師主導で且つ医療体制が万全だから、安心感があるね。
◾️こんな人にオススメ
- 持病がある、またはハイリスク妊娠と言われている人
- 医療的な安心感を最優先したい人
- 緊急時の対応スピードを重視したい人
産科クリニックでの妊婦健診・出産
◾️特徴
産科クリニック(個人病院)は、妊婦健診と出産のバランスがとれた選択肢です。
医師が常駐しており、通常の妊娠・出産には十分な医療体制があります。
設備がきれいで、食事や入院環境が充実しているところも多く、無痛分娩に対応しているクリニックも増えています。
地域によって異なるけど、「無痛分娩」で「ホテルライク」な滞在ができるのは、産科クリニックが多い印象だね!
産後の入院期間も、フレンチフルコースみたいな豪華な食事が出るところも多いみたいだね。憧れる!
◾️こんな人にオススメ
- 妊娠経過が順調な人
(持病がなく、ハイリスク妊娠ではない人) - 医療の安心感も、快適さも両方ほしい
- 無痛分娩を選択肢に入れたい
助産院での妊婦健診・出産
◾️特徴
助産院は、助産師さんが主体となって妊婦健診と出産をサポートする場所です。
正常な妊娠・出産のみを対象としており、医療介入は最小限です。
健診は時間をかけて行われることが多く、体調だけでなく、健康面・生活面の相談や指導、精神面のサポートまで丁寧に対応してもらえるのが特徴です。
出産に対する考え方も、「しっかりと準備をして、自分の力で産む」感覚を大切にしています。
異常があった場合には、あらかじめ提携している病院へ搬送される仕組みがあります。
ベテラン助産師さんから、食事や運動などのアドバイスも丁寧にしてもらえるよ!
「陣痛」は、赤ちゃんを産むための「ポジティブなエネルギー」として考えていて、医療介入は必要最低限とするマインドセットみたいだよ。
◾️こんな人にオススメ
- 妊娠期間にじっくりと自分自身で産む力を育てたい人
- 妊婦健診でしっかり話を聞いてもらいたい人
- 健康面のアドバイスを妊娠出産の専門家から丁寧にしてもらいたい人
- 出産を人生の大切な体験として向き合いたい人
妊婦健診・出産場所の選び方【5つの判断軸】
妊婦健診・出産場所にどのような選択肢があるのかを知った上で、今度は自分にはどの施設が合うのかをチェックしてみましょう!
妊婦さんご本人が「何を一番大切にしたいのか」を具体的に整理することが重要です。
ここでは、5つの判断軸として、ご紹介したいと思います。
1. 医療的なリスクにどこまで備えるか?
1点目としてあげられるのは、医療的な安心感をどの程度重視するかという点です。
① 持病があるかどうか、② 年齢(高齢出産か否か)、③ 妊娠経過が順調かどうかなどの要素を踏まえて検討します。
たとえば、合併症のリスクがある場合や、高齢出産、多胎妊娠などリスクが高い出産を控えている場合は、総合病院のように医療体制が整っている場所が安心かもしれません。
一方で、妊婦ご自身が健康で若く、妊娠経過が順調であれば、産科クリニックや助産院という選択肢も現実的になります。「万が一のときに、どこまでの安心感があれば自分は納得できるのか」を考えることが大切です。
元々持病をお持ちの方は、主治医の先生に相談することも大切かもしれないね。
2. 出産を「医療行為」と捉えるか?
次に、出産自体をどう捉えるかが大きな判断ポイントになります。
「医療行為として管理されたい」「できるだけ医師に任せたい」と感じる人にとっては、病院や産科クリニックが合っているかもしれません。
一方で、「自分自身の力で健康な妊娠生活を築いていきたい」、「自分で出産する力を付けて出産に主体的に向き合いたい」と考える人にとっては、助産院の考え方がしっくりくることもあります。
お医者さんに相談すると「では薬を処方します」となりがちだけど、
助産師さんに相談すると、妊婦向けの運動やストレッチ、食生活の改善などを提案してもらえることが多いよ。
3. 妊婦健診で何を一番大事にしたいか?
3点目として、「妊婦健診のスタイル」にも、注目したいと思います。
施設によって妊婦健診の内容は異なります。
① 短時間で効率よく診てもらえる健診
② 時間をかけてじっくり話を聞いてもらえる健診 → 助産院
どちらが自分に合っているかを考えてみましょう。
①がお好みの場合は、総合病院、産科クリニックがオススメ。
②がお好みの場合は、助産院がオススメ。
また、医師との距離感も重要です。「専門家に任せたい」「必要なことだけ知りたい」と思う人もいれば、「不安なことをその場で全部聞きたい」「専門家から気をつけるべきこと、改善するべきこと等があれば積極的にアドバイスをしてほしい」という人もいます。
妊婦健診でストレスを感じないかどうかは、出産までの安心感にも直結します。
4. 出産環境・雰囲気が妊婦さんの好みか?
4点目は、出産環境・雰囲気が妊婦さんご自身の好みに合うかどうか。出産を迎える空間や雰囲気も、意外と重要なポイントです。
分娩室が
- 医療機器に囲まれた環境なのか
- 自宅のように落ち着ける空間なのか
どちらが自分に合っているかをイメージしてみてください。
また、家族の立ち会いについても事前に確認しておきたいポイントです。パートナーだけなのか、上の子も一緒にいられるのかなど、施設ごとに方針は異なります。
コロナ禍での出産の時は、そもそも立ち会いが難しい施設もあったんだよ
分娩室も事前に見学して、雰囲気が好みかどうかもチェックするといいね
5. 産後ケア・サポートは充実しているか?
最後の判断軸は「産後ケア・サポート」が、妊婦さんとパートナーが望む形のものがあるかどうかです。
出産だけでなく、産後のサポートもとても大切です。
母乳指導がどの程度手厚いのか、夜間のサポートや、困ったときにすぐ相談できる環境があるかどうかは、産後の安心感を大きく左右します。
また、退院後に相談できる場所があるかどうかも重要です。「産んだら終わり」ではなく、その後も頼れる存在があるかを考えてみると、選択の基準がはっきりしてきます。
筆者が助産院を選んだ理由【体験談】
最後に、筆者自身の体験談をご紹介したいと思います 🏠
妊娠がわかった当初は、正直どこで産むか決められなかった
妊娠がわかった当初、筆者自身もどこに行くか迷いました。
初期と後期は特に頻度高く妊婦健診があるので、「自宅からアクセスしやすい」というポイントで絞って、Google Mapで自宅周辺の「産婦人科」を調べて、クチコミを見ながら検討しました。
ただ、どの病院にも「⭐️1 」をつけているユーザーが必ずいらっしゃって… 。
もし自分がワーストケースに当たってしまったとしても驚かないようにという観点で、「⭐️1」と評価している「嫌な体験談」や「病院へのクレーム」などを読み漁りました。
結果として、どの施設も良くない気がしてしまい、不安で決められない…ということに。
匿名だからか、Googleのクチコミは辛辣なものが多くて不安な気持ちになるものばかりだったよ…
不安な気持ちになりながらも、その中から取り急ぎ初診の場所は決めなければなりません。
結局、自宅から徒歩10分程の産科クリニックで受診することにしました。
また、当初は「無痛分娩」一択のつもりでいたので、無痛分娩をしているというのも大きなポイントでした。
産科クリニックに通院しながら感じた違和感
実は、初期に2つの産科クリニックを訪れました。
どちらも自宅から10分〜15分程でアクセスできるので、正直どちらでも良いと思っていました。
まずは1つ目の産科クリニックについて。
妊娠検査薬が陽性になって初めて受診した産科クリニックです。施設は大変綺麗で、大型駅から通院のためのミニバスまで運行していました。
胎嚢が確認できなかったため、別日で再度確認が必要という状況だったのですが、「うちは無痛分娩もあって人気の施設なので、今すぐ分娩の予約をしてください!」と医師に言われてしまいます。
悪いクチコミを読んでいたのもあり、即決したい気持ちになっていなかったんだよね…
受付の方もつっけんどんな感じで、あんまり心象が良くなかったね…
上記のような状況から、「予約をしたい!」という気になれず、見送ることにします。
そしてその後、化学性流産(妊娠検査薬は陽性反応だけれど、実際は着床していないケース)となり、その産科クリニックでお世話になることはありませんでした。
次に2つ目のクリニックについて。
こちらは、妊娠が分かってから3ヶ月ほど通いました。
予約制なのですが、とにかく待ち時間が長い!
そして検診自体も事務的で5分程度で終了します。
「異常がなければ一瞬で終わるのよ〜!」なんて看護師さんには言われたっけ
初めての妊娠・出産で分からないことだらけ。知見がある人からのアドバイスが欲しかった筆者としては、物足りなかったみたい。
検診終了前に、医師から「何か気になることはありますか?」と質問されるので、そのタイミングで気になる点や相談したい点があれば医師に伺います。
ただし、医師側から積極的に注意事項や日々の生活で意識するべき点、食生活の指導などをされることはありませんでした。
一番印象的だったのは、「食事のアドバイス」を求めた時。
医師に「マックでもコーラでも何でも大丈夫だよ。赤ちゃんもヤワじゃないんで。」と言われたことです。
筆者はそんなに厳しく食事制限をするつもりは全くなかったんだけど、妊娠中の食生活について「葉酸を取りましょう」「鉄分を取りましょう」など様々な情報に触れていたので、マックとコーラというキーワードしか話さない医師に絶句したんだって…
また、待合室で待機する雰囲気も苦手でした。
お腹の大きい妊婦さん達が、静かに携帯をいじりながら待ち続ける殺伐とした空間。 響き渡るのは看護師さんが患者を呼ぶ「〇〇さ〜〜ん!どうぞ〜〜!」という声だけ。
病院の当たり前の光景ですが、その場所で長く待機するのが好きではありませんでした。
助産院を知って転院を決める
産科クリニックに通うのに嫌気がさしていたので、別のオプションを探し始めます。
それが「助産院」でした。
妊娠の経過も大変順調で、持病もなく、且つ高齢出産ではなかったので、医療行為に頼り続ける必要もないと自身が湧いていた頃でした。
助産院も筆者の自宅から15分くらいのところにあったんだって
「無痛分娩にするか否か」問題では、心は揺れていたものの、まずは話を聞いてみようと思って助産院に電話をしました。
助産院の院長さんが電話に出てくださり、見学の日程を決めました。
電話越しでも分かる、朗らかで優しく温かい先生でした。
病院の受付係の方のぶっきらぼうな態度とは全く雰囲気が違って、そこから助産院は好印象だったって!
そして、産科クリニックには「里帰り出産をすることにします」とお伝えして、助産院に切り替えることにしました。
産科クリニックに通っていた時は、「〇〇をした方が良いよ」等のアドバイスは全くありませんでしたが、助産院は違いました。
より良いお産のため、安産のため、これから母親になる女性として準備できることを事細かに教えてくれます。
「よかったら参考にしてね」とプリントを渡してくれるスタイル。知識を押し付けられたり、強制されることは全くありません。
プリントを読んで質問があれば、妊婦健診の際にじっくりお話しをしてくれます。
また、妊婦健診以外に、安産のための体づくりの一環として、体操教室があります。体の変化が著しい妊婦のための体操として、助産師さんの指導の元、体調を整えます。
「妊婦とお腹の赤ちゃんのために至れり尽くせり」という印象です。
助産院の最も大きなデメリットとしては、医療行為はできないということです。ただ、各助産院には必ず連携している病院があり、出産のベテランである助産師さんの指導のもと、必要に応じて病院に連携いただけます。
また、その病院も助産院から徒歩10分程の場所にあるので、不安感は全くなく出産に臨もうとしています。
妊娠・出産に対する印象そのものをポジティブに変えてくれたんだって。
例えば、陣痛は「痛くて辛くて大変な痛み」から、「新しい命を産むために自然に発生する必要な力」という受け止め方に変わったと言っていたよ。
最初は無痛分娩を希望していたのに、助産院で自然分娩することにしたんだね。
方針が大きく変わったのがわかるね。
いかがでしたか?
妊婦健診や出産場所選びは、正解がひとつではありません。
病院が合う人もいれば、クリニックや助産院が合う人もいます。
大切なのは、「安心できるか」「自分らしくいられるか」。
この記事が、迷っている誰かが自分に合った選択を考えるきっかけになれば嬉しいです。
それでは、また!😄

