【ペルー】マチュピチュのチケットを現地で購入する

【ペルー】マチュピチュのチケットを現地で購入する

Hola ! 🇵🇪 今回は、マチュピチュの入場チケットに関する情報をご紹介します。 日本語で検索すると「現地で購入することができない」と、複数のブログに書いてありますが、結論から言うと 現地でチケットを購入することはできます オンラインでチケットを購入しようとして売り切れになっていて慌てた皆様、ご安心ください。 実際に、筆者はオンラインで予約はせず、現地でマチュピチュのチケットを購入しました。今回の記事では、マチュピチュのチケット販売所の場所や買い方をご紹介します。 【結論】現地でチケットを購入できる! 結論から言うと、「現地でチケットを購入することは可能」です。毎日1,000枚、翌日分のチケットを販売しています。 Availability and in-person purchase at the Machu Picchu Cultural Center (1000 tickets daily).The in-person sale of tickets for Machu Picchu in “Machu Picchu Pueblo” takes place every day from 15:00 to 22:00 at the Machu Picchu Cultural Center (For the following day). マチュピチュに行く際に、どんな交通手段の場合も必ず通過する場所「Aguas Calientes – アグアスカリエンテス」別名「マチュピチュ村」に、チケット販売所があります。 Aguas…

【ブラジル】今日も燃え続けているアマゾンの森林 – 無関心による破壊
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【ブラジル】今日も燃え続けているアマゾンの森林 – 無関心による破壊

「今、アマゾンの森が燃えている」と聞いて、あなたは驚きますか? いままでの人生の中で、森林破壊の問題について、どこかで耳にしたことがあるはずです。アマゾンの森に火を放ち、そこで農業をする「焼畑農業」と、それが国際社会で問題として取り上げられたということを。 そうなんです。なんとアマゾンの森は、今日も燃え続けています。(2023年11月現在) 今回は、私たちがアマゾン川流域に滞在した際に、現地の人から聞いた話に基づいて「アマゾンの森林破壊」についてご紹介します。 アマゾンの土地は痩せている 燃えている話の前に、まずはアマゾン川流域の土地について、お話したいと思います。 アマゾンといえば、広大な森林と雄大な河をイメージするかと思います。そして、鬱蒼と茂る緑から、アマゾンの土地が栄養価が高い肥えた土地だと思うことでしょう。アマゾン地域を畑にしたら、放っておいても草木がどんどん成長しそうですよね? 残念ながら、アマゾンの土壌に栄養価は殆ど無いんです。 理由は簡単。「植物が全て吸収している状態」からです。 アマゾンの森林では、 ・木々から葉が落ちる、老木が倒れる・葉や木が腐って栄養となる・栄養を使って木が育つ という循環を繰り返し続けています。 その循環の中にある「栄養」がどこに留まっているかというと、土ではなく、植物になのです。 「アマゾンを燃やして農業をする」と、さぞかし良い農作物が簡単にできるようなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし残念ながら、焼畑農業をした土地を継続利用することは難しく、大量の肥料を購入して利用し続けないことには、農作物が育たない環境なのです。 アマゾンの森を通る道路から枯れてゆく アマゾンの土地が痩せているため、栄養循環の鍵が「葉や木が腐る」ということは、想像いただけたと思います。 そして「葉や木が腐る」ためには、湿度が必要です。実際に、アマゾンの森林の中は湿度が高く、菌類も繁殖しやすい状態だそうです。 一方で、人間の生活範囲を広げるために道路などを建設すると、道路と隣接する部分が外気に触れて、湿度が一気に低下します。道路に面している部分の森林は、乾燥して「葉や木が腐る」スピードが遅くなってしまいます。 <おまけ> ちなみに、2023年11月9日現在、アマゾン近郊のマナウスでは “酷暑警報”が発令されています。道路が焼けるような暑さになる事で、森林が保っていた水分がどんどん蒸発してしまいます。 私たちがマナウスに滞在していた期間、アマゾン川の水量が日々減少しているのを目の当たりにしました。 今、アマゾンの森が燃えている 今、本当にアマゾンの森は燃えています。(2023年11月現在)日々、燃えている/燃やされている状態です。 マナウス在住の友人によると、私たちがアマゾン近郊の街 Manaus マナウスに到着した1週間前は、アマゾンが燃えている煙で街の空気が霞んでいたそうです。 どのような理由で燃えているのか、2パターンに分けて見てみましょう。 理由1:自然に発生する森林火災 森林火災というキーワードを近年よく耳にするようになりました。2023年8月にハワイのマウイ島で森林火災があった事は、日本でもニュースになっていたと思います。 アマゾンの森林でも、森林火災は発生しています。本来であれば、高湿度を保っている森林ですから、森林火災が大規模になることは稀でした。ただ、前述した通り、道路などを多数建設したことが原因で湿度が下がってしまった部分は、大規模火災に発展してしまうようです。 理由2:人工的に発生させる森林火災 人工的に発生させる森林火災、それは「焼畑農業」です。森林を燃やして土地を開拓し、そこで農業を営む。ただし、問題があります。皆さん既にご存知の通り、「アマゾンの土地は痩せている」という事です。継続してその土地を使い続けて農作物を育てて利益を得るためには、大量の肥料を仕入れる必要があります。 とある店舗の所有者が「利益を二倍にしたい、何か方法は無いか。」と言った時、「簡単です。店舗をもうひとつ増やせば良い」と、答えた… なんて珍回答を聞いた事がありますか。(ありませんか。笑) そんな要領で、アマゾンの別の土地が更に燃やされるという事態が、今現在発生しています。 <補足> 実は、「焼畑農業」という手法は、最近始まったわけではありません。先住民族が伝統的に利用していた方法でした。しかし、資本主義に基づかないその伝統的な農業の方法は、持続可能な農業手法で、アマゾンの森林を減少させることなく人と森林は共存し続けていました。そして、現在でも焼畑農業を活用した持続可能な農業手法を続けている住民も多くいるそうです。 以下、先住民族の友人談アマゾンの森林を破壊しているのは、ドイツ系ブラジル人が経営する企業が多い。一辺倒に焼畑農業を批判するのではなく、先住民族が伝統的に続けてきた持続可能な農業手法は守りつつ、利益を追求するが故に発生する大規模焼畑農業は批判するべきだと思う。 ブラジル政府を変えられるのはブラジル人だけ と、思ったアナタ。残念ながら、ブラジルの選挙での投票権が無い限り、”直接的”に関与するのは難しいです。それは、現在のアマゾンの焼畑農業を推進しているのは、ブラジル国民に選ばれたブラジル政府だからです。 資本主義の社会で、富を求めて事業を行うのは普通のことです。アマゾンの土地も、富を求めて開発され続けるわけです。 マナウス在住の友人曰く、現在のブラジル政府がアマゾンの焼畑農業を完全に禁止する政策を打ち出す事は、現時点ではどうやら無いようです。 マナウス在住の友人はアマゾンの森林減少を危機感を持って語ってくれましたが、違う地域のブラジル人も同様に危機感をもっているかというと、そうとも限らないようです…。 社会問題と向き合う時に心に留めておくべき二宮金次郎の言葉 アマゾンの森林に関する問題をご紹介しました。「地球の肺」とも言われるアマゾンの森林を守りたい気持ちは山々ですが、「守ろう!」というだけでは解決しない問題だと思います。 モヤモヤする気持ちだけを与える記事になってしまったかと思いますが、ここで1つ二宮金次郎の言葉を書いて締めたいと思います。 道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は戯言である。 経済の観点が伴う問題解決策を唱えなければ、アマゾンの森が消えてなくなるまで、人間が吸う酸素がなくなるまで、残念ながら森は燃え続けるのだと思います。 (もしくは「森林破壊」が「道徳なき経済」と判定されて、犯罪行為として認められたらいいのか….難しいです。) ⚠️注意 筆者は、ブラジル社会の専門家ではありません。筆者が現時点で得た情報と、筆者の視点に基づいて記載していますこと、ご了承ください。 より深くブラジル史を知りたい方は、ぜひ以下の本をご参考ください。 ブラジルの歴史を知るための50章 伊藤…

【ペルー】マチュピチュへの行き方 完全版(最安ルート&快適ルート)

【ペルー】マチュピチュへの行き方 完全版(最安ルート&快適ルート)

Hola ! 🦙 大人気の観光地「マチュピチュ」、ペルーに行く時には必ず立ち寄るポイントだと思います。 一方で、アクセス方法は多岐に渡り、価格もルートによって全く異なり、はっきり言って煩雑です。 2024年版マチュピチュへのアクセス情報完全版記事を目指して、必要な情報をまとめて共有したいと思います! という方は、「3. 独力散策コースの詳細」をご覧ください! <注意⚠️> 記事の更新日時を確認の上、ご参考ください。当該記事が古くなり、現地の状況と齟齬が発生する可能性があります。 マチュピチュに行くために必ず通る3つの街 マチュピチュへのアクセスするために必ず経由する3つの街をご紹介します。 Cusco – クスコ インカ帝国の首都だった場所。「Cusco クスコ」ケチュア語で「へそ」を意味します。マチュピチュを目指す多くのツアー会社がクスコに点在しています。街を歩くと、キャッチのように「マチュピチュ行くかい?」と色んな人に声をかけられます。 クスコで有名なスポットと言えば、インカ帝国の太陽神殿。当時は沢山の黄金で装飾されていましたが、スペイン人が植民地化した後、黄金は全て略奪され、神殿は破壊されました。現在は、その神殿跡の上に、キリスト教の教会が建っています。街の標高は3,400mで、高山病には要注意! 日本から飛行機でアクセスする場合、まず首都のリマに到着し、その後クスコに向かうことになります。 Aguas Calientes – アグアスカリエンテス 街の名前はスペイン語で、「Aguas」は「水」、「Calientes」は「温かい」。つまり街の名前は「温水」!名前の通り、温泉があります。この村の初代村長は日本人の野内与吉でした。標高はCusco クスコよりも低く、2,000m程です。ここを拠点としてマチュピチュへ登り、マチュピチュ観光が終わったらまたこの街に降りてきます。 Machupichu – マチュピチュ 最後に目的地、「Machupichu マチュピチュ」です。 アグアスカリエンテスに行くためのルート2種類 クスコまでのアクセスは、大抵の人は迷うことは無いと想定。クスコを出発地点として、マチュピチュ村と呼ばれる「アグアスカリエンテス」までのアクセス方法をご紹介します。 1)独力散策コース2)楽々快適コース 独力散策コースは、バックパッカーに人気の最安ルートです。楽々快適コースは、移動時間・徒歩時間を最大限に短縮したルートです。 独力散策コース 時間がかかりますが、ツアーに参加せず、自力で行く最安ルートです。クスコから鉄道を用いずに、バスや車でAguas Calientes アグアスカリエンテスを目指すコースです。 移動時間:約8時間 クスコからマチュピチュまで 交通費:約3,600円/1名 片道 ◼︎為替レート2023年11月時点 1 SOL = 40円1 USD = 150円 道順と費用 詳細は、「独力散策コースの詳細」にて別途記載します。大まかな道順と費用は以下の通りです。 ・Cusco クスコ 🗺️ ↓ バス 20 sol…

【ブラジル】“本当の”ブラジル人が差別を受ける人種差別問題
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【ブラジル】“本当の”ブラジル人が差別を受ける人種差別問題

あなたが日本人で、日本で暮らしているならば、自分自身が人種差別されることは勿論ないでしょう。一方で、ブラジル人がブラジルで暮らしていても、人種差別を受けることがあります。先祖代々ブラジルで生きてきた、歴史ある由緒正しい家系の「本当のブラジル人」だったとしても。 今回は、ブラジル出身の友人が語ってくれたブラジルの人種差別問題についてご紹介したいと思います。 ブラジルの人種構成 ブラジルは、様々な人種で構成されています。街中を歩いている時も様々な人種と出会うことができる、いわゆる「人種の坩堝」です。2010年の統計では、構成比率は以下のようになっています。 ブラジルにおける人種構成 ◾️メモブラジルの人口における先住民族の割合は0.4%とかなり少ないということを、覚えておいていただけると、この後の話が理解しやすいと思います。 ブラジルの奴隷と移民 先住民族以外の人種は、主に1500年代以降にブラジルに渡った移民です。 現代社会でもなお、人種差別が色濃く残っている国は多々ありますが、ブラジルも例外ではありません。1500年以降に移民してきた白人の方が、「本当のブラジル人」とも言える先住民族の人たちよりも社会的立場が高いことが多いのです。先住民族だけでなく、黒人も同様に虐げられてきました。ポルトガルによる悪政により、世界で一番黒人奴隷を輸入していた国は、ブラジルだったことをご存知でしょうか。また、アメリカの奴隷解放宣言に続き、次々と南米各地で奴隷は解放されましたが、最も対応が遅かったのが、ブラジルだったのです。 300年以上続いた奴隷制度と白人至上主義の影響が、今なお残っているのが現在のブラジルです。 さて、実は日本からも、たくさんの人がブラジルに移り住んでいました。1908年の笹戸丸の集団移住を初めとして、沢山の客船が太平洋を行き来し、20万人を超える移民者を記録しました。 そんな疑問があるかもしれません。 悲しいことに回答は、一言で言うと「肌の色が黒人より明るいから」と言えます。ブラジルの歴史を振り返ると、ポルトガルに植民地化されて以降、国の政策等から明確に読み取れる程に白人至上主義が横行していました。 <おまけ> 豊臣秀吉がキリスト教を禁じた事は有名ですね。禁止した背景にはポルトガルやスペインの奴隷貿易があったことをご存知ですか。 豊臣秀吉は、イエズス会の最高責任者に以下の4つの質問状を送り、その後追放令を突きつけました。 <豊臣秀吉の質問状>一つ、なぜかくも熱心に日本の人々をキリシタンにしようとするのか。一つ、なぜ神社仏閣を破壊し、坊主を迫害し、彼らと融和しようとしないのか。一つ、牛馬は人間にとって有益な動物であるにもかかわらず、なぜこれを食べようとするのか。一つ、なぜポルトガル人は多数の日本人を買い、奴隷として国外へ連れて行くようなことをするのか。 もし、豊臣秀吉がキリスト教を禁止し、奴隷貿易を止めていなければ、ペルーのインカ帝国の神殿のように、日本の神社やお寺は全て破壊されてキリスト教の教会となり、メキシコのアステカ帝国の首都テノチティトランのように、徹底的に破壊されてヨーロッパ調の建物に建て替えられ、さらには、大量の日本人が奴隷になっていたかもしれません。 参考記事:「日本人の奴隷化」を食い止めた豊臣秀吉の大英断 インディオと黒人に対する人種差別 インディオ差別 「本当のブラジル人」と呼ばれるに相応しい、先住民族のインディオですが、人種差別の対象になっています。 インディオである友人が、数十万円するマウンテンバイクを購入する時の話。 マウンテンバイク店の定員の態度が客の肌の色で異なるといいます。実際に白人の客には、すぐに定員がアテンドして商品説明に励むのにも関わらず、インディオである彼には誰もアテンドしない。彼のことを無視して、誰も商品案内をしない。 彼曰く、それは日常茶飯事で、インディオである彼に対してもしっかりと説明してくれた店舗で、購入するようにしているとのことでした。 黒人差別 インディオである友人のクライアントだった、とある黒人系イギリス人の話。 黒人系イギリス人が「ブラジルは人種差別が酷い国だ」と憤慨していたそう。どんな差別を受けたのかよくよく話を聞いてみると、黒人であるだけで疑いの目をかけられるのだと言います。例えば、お店に入る度に、警備員が彼の後ろについてまわる等。他の人種の場合は、警備員は動かないのに、黒人である彼が入店すると、警戒してついてきたとのこと。 インディオの彼は、笑いながら「残念だけど、ブラジルではよくあることだ」と伝えたそうです。 現代社会 インディオの友人の視点 と私が言うと、彼は少し笑いながら答えました。 私たちの唯一の灯りである焚き火がパチパチと響くアマゾンの森の中で、それから、彼はこう言いました。 もうすぐ産まれる彼の娘が生きる時代は、更に良い時代になりますように。 そんな事を祈りつつ、私にできることは何かを考えながら、この記事を締めたいと思います。 ⚠️注意 筆者は、ブラジル史の専門家ではありません。筆者が現時点で得た情報と、筆者の視点に基づいて記載していますこと、ご了承ください。 より深くブラジル史を知りたい方は、ぜひ以下の本をご参考ください。 ブラジルの歴史を知るための50章 伊藤 秋仁 (著, 編集), 岸和田 仁 (著, 編集)  それでは、また。🇧🇷

【アメリカ】戦争に参戦して他者に危害を加えた事を、人生の誇りとする社会で良いのか
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【アメリカ】戦争に参戦して他者に危害を加えた事を、人生の誇りとする社会で良いのか

アメリカ滞在中に、現地の老人ホームや墓地を訪問する機会がありました。 その期間に筆者が感じた「戦争が功績となる社会」について、書き起こしてみます。 戦争が功績となる社会を垣間見た3つのエピソード 現役時代:軍人である事への誇り アメリカ滞在期間中、老人ホームにお邪魔する機会がありました。訪問したその施設で、80代〜90代のアメリカ人のお年寄りに出会いました。一緒にお喋りする機会があった数人の内、2名の方をご紹介したいと思います。 アメリカ社会では、「軍人であること」は、大変誇らしいことであるようです。 祝日として、戦没将兵追悼記念日 Memorial Dayや退役軍人の日 Veterans Dayが設定されており、そこでは大統領も含めて国民が軍人に対して敬意を払います。軍隊の仕事は、社会的に尊敬される職業と考えられているようです。 2人のおじいさん・おばあさんは、戦争の話をしていたわけでも、軍隊の話をしていたわけでもなかったのですが、自然とそれぞれのエピソードを語り始めました。自分の人生を語る際に、一番最初に話したいことが「自分自身の参戦経験」と「息子が軍隊で働いている事」だったわけです。 ちなみに… 軍人に敬意を払う祝日があるのは、アメリカだけではありません。筆者がパッと思いつくだけでも、フランス、ベルギー、スイス、イギリス、ロシア、ベトナム等、他の国にもあります。 日本では、戦争で亡くなった人を悼む日としては、祝日ではありませんが、8月15日の「終戦の日」が挙げられます。 退役時代:軍出身者への手厚い保障 軍人とその配偶者は、手厚い保障を享受する事ができます。戦争に参戦した実績がある退役軍人の方が、戦争に参戦していない退役軍人より手厚い保障となります。実際に戦争に参戦した軍人は手厚い年金を給付され、亡くなるまで一生その制度を活用できます。 また、老人ホームの施設の方の話によると、本人または配偶者が軍隊出身であることは「ラッキー」であるようです。一般のお年寄りがお金の扱いを誤ると生活苦になる可能性もあるのに対し、退役軍人とその配偶者は国の手厚い保障のおかげで、経済的に困窮する事はまず無く、安心して老後を過ごす事ができるとのことでした。 死後:墓石の功績に「参戦」 戦争に参加したことは、「功績」となります。 親戚のお墓参りをした際、近隣の墓石に戦争への参加を功績として刻んでいるのを多く見かけました。 実際に記載してあった戦争の名前 と、思った方もいるかもしれません。 ただ、墓石に記載されている年号を見ると、戦争が原因で亡くなったわけではないことが分かります。 戦争参戦を誇りに思っているアメリカ人に覚えた違和感 前提 私のパートナーはベトナム人なので、私はベトナム視点の歴史を学び、近代史の理解を深めました。さらに細かくお伝えすると、北ベトナム視点の歴史を学びました。その影響もあり、戦争の歴史を取り上げる場合、アメリカの行為を批判的な視点で捉える事が多いです。 アメリカ軍によるベトナムの一般市民の殺戮は悲惨なものでした。例えば、一般市民が暮らすハノイ市全体への大量爆撃(北爆)、枯葉剤による攻撃(枯葉作戦)などが挙げられます。 2023年9月現在継続しているウクライナ戦争に関して、アメリカが「ロシアは非人道的だ。」というコメントを発していますが、私は不信感を抱きます。正しいコメントであるとは思いつつも、「アメリカはそんなことを言える立場なの?」と、アメリカが侵してきた戦争犯罪の数々を鑑みると矛盾したコメントであると感じています。第二次世界大戦中の日本に対する空襲や原爆投下等のアメリカの行為は、『民間人に対しての殺戮』であり、国際法違反、すなわち戦争犯罪であった事を、ここで言及しておきたいと思います。(敗戦国の戦争犯罪は問題とされますが、戦勝国の戦争犯罪は基本的に常に免罪です。) 参考:「戦争犯罪」という言葉に馴染みがない方のために、Wikipediaの記述を引用します。 戦争犯罪とは、狭義には戦争に関する法(国際法など)に違反する行為(交戦法規違反)と戦時反逆罪(作戦地・占領地内における非交戦者による利敵行為)を意味し、広義には交戦法規違反に加え平和に対する罪・人道に対する罪を含めた概念を意味する。 具体的には、他国に対して侵略戦争を仕掛けたり、敵兵・捕虜に対して非人道的な扱いをすることなどである。また、民間人に対しての殺戮・追放・逮捕など、紛争や混乱の誘発や報復感情の拡大の原因となる行為と言動も、戦争犯罪であるとされている。(以上「戦争犯罪」の項より引用) 戦争に参戦し、他者に危害を与えた事を人生の誇りとする社会で良いのか 老人ホームのおじいさん・おばあさん達は、皆さん朗らかで優しい方でした。私たちとすれ違う時は、いつも和かに挨拶してくださいました。 そんな優しいおじいさんの1人、「補聴器をつけた和かな優しいスラリとしたおじいさん」は、自己紹介を少しした後に、ベトナム戦争にB52を操縦して参戦していたことを語りはじめました。目の前にベトナム人がいるにも関わらず、誇らしげにパイロットとして参戦した事を語り出したのです。 私は、衝撃を受けました。 おじいさんが操縦していたであろう機体:ボーリングB52戦略爆撃機 ベトナム戦争に参戦して、B52を操縦していたならば、残虐にも大勢の民間人を殺すミッションを担った可能性が高いです。 終戦後に自分が参戦した戦争の意味はなんだったのか、自分が参戦した戦争でどれほど現地の人が被害を受けたのか、全く知ろうとしないのでしょうか?もしかしたら、目の前にいるベトナム人の家族を自分が殺してしまった可能性は想像しないのでしょうか? もしかしたら、彼は、数分前に伝えた「ズンがベトナム人である」という情報を忘れてしまっていたかもしれません。 実際、老人ホームの皆さんは、お年を召している事もあり、同じ話を何度もされたり、同じ質問を何度もされたりすることもありました。例えば、とあるお婆さんには「日本でどんな仕事をしているの?」と3回聞かれました。 もしかしたら、戦時中は与えられたミッションを達成するために行動していたのであって、ベトナムの歴史背景やベトナム人が被った被害等は、彼にとっては全く関係なかったのかもしれません。 映画「トップガン マーヴェリック」を思い出しました。 「トップガン マーヴェリック」の映画では、”敵国”に関する情報がかなり少なく、「倒すべき敵」「相手の行為を止める」としか言及されていませんでした。ミッションを担ったアメリカ人のメンバー達は、命懸けでそのミッション達成を目指しますが、”敵国”が受けた被害や、今後の”敵国”の動きや政治などは一切語られません。 この投稿をInstagramで見る トップガン(@topgunmovie_jp)がシェアした投稿 ベトナムは、戦争に勝利したにも関わらず、アメリカからの賠償金は無く、さらにはアメリカから経済制裁をかけられた歴史があります。戦争で苦しんだベトナムの民間人の補償はないのに、民間人を殺したアメリカ側は、亡くなるまで手厚く補償されるとは…なんとも皮肉なものです。 彼がいつか亡くなった時には、墓石に「ベトナム戦争参戦」と功績として刻むのだと思います。 アメリカが、「参戦したことを誇りに思わせてくれて、且つ参戦した人を大切に保障してくれる社会」なんだと改めて痛感しました。 戦争が無くならない理由が少し見えたような気がして憤りを覚えた筆者ですが、一方で、そのおじいさんには、ベトナム戦争の被害のことなどは一切話しませんでした。また、ベトナムの歴史博物館に、アメリカのB52がひっくり返っている写真を彼に見せませんでした。 おじいさんに見せようか一瞬頭を過った写真ベトナム軍事歴史博物館の展示:追撃されたアメリカのB52 90歳近い彼にそれを伝えたところで、彼の人生を否定してしまうことになるし、穏やかな日々を老人ホームで過ごしている彼が傷ついてしまうかもしれないと考えたからです。 私がもし、彼だったら。その時代のアメリカに男子として生まれていたら。私も高校を卒業してから同じように入隊し、ベトナム戦争でB52を操縦していたかもしれません。…