結婚式場の広告を見ていて思うことがあります。
それは、キリスト教”風”の結婚式が多いと言うことです。

教会”風”の作りの式場で、誓いの言葉を述べて、讃美歌を歌う….

キリスト教の式を執り行う新郎新婦とその家族は、カトリックなのかな?プロテスタントなのかな?

というか、そもそもキリスト教徒なのかな??

日曜日は礼拝にいってるよって人、日本人の友達では全然いないけどなぁ….


フランスで本場のキリスト教の教会が身近にある環境で暮らしていた筆者にとって、日本の結婚式場の教会風の建物は、残念ながら至って歪に見えます。
聖書を読んだこともないカップルが、十字架を前に誓うというのも、筆者にとってはとても不思議です。

前回の結婚式場広告の白人至上主義批判に続き、今回は適当すぎるキリスト教”風”結婚式ビジネスへの問題提起です。



【宗教】キリスト教”風”は、宗教の冒涜

キリスト教とは

そもそも、キリスト教がどのような宗教かご存知でしょうか。
キリスト教は、一言で伝えるならば、イエスを救世主と信じる宗教です。
信者は世界で約24億人にのぼる、世界三大宗教の一つです。

キリスト教”風”とは – キリスト教徒に成りすまし

さて、広告代理店の努力が実り、「素敵なチャペルでウェディングドレスを着て、愛を誓いたい」という日本人女性は現代でも多いようです。

ここで質問です。

彼女たちはキリスト教徒なのでしょうか?
聖書を読んだことがあるのでしょうか?
日曜日のミサに参加したことがあるのでしょうか?
食事の前に神に祈りを捧げたことがあるのでしょうか?
「アーメン」と人生で何回言ったことがあるのでしょうか?

全ての回答が「いいえ」または「ほぼゼロ」だったとして、キリスト教の宗教施設で祈りを捧げたいというのは、結婚式の時だけキリスト教徒を装って神に祈ろうとしているのでしょうか?

重ね重ねですが、キリスト教は宗教です。
信者でないのにも関わらず、そこだけキリスト教で結婚式を進めようとするのは、本当の信者からどう思われるでしょうか。宗教を軽んじていると思われても致し方ないのではないでしょうか。

まとめ 【宗教】キリスト教”風”でいいのか

いつもは全くキリスト教に興味がないにも関わらず、結婚式の時だけキリスト教徒として神に誓おうとするのは、キリスト教信者に宗教を軽んじていると思われても致し方ない。

【会場】そもそもキリスト教の教会ではない

みなさんは、キリスト教の教会に行ったことがありますか?

世界を旅行する中で、キリスト教徒が多い地域を見て回る機会がありました。観光客もいますが、熱心に神に祈りを捧げるキリスト教信者の姿を目にすることが多々ありました。


信者が祈りを捧げるために足繁く通う教会と、日本のキリスト教”風”の結婚式場の雰囲気は、全く違います。キリスト教徒が多い地域を複数見た後に日本の結婚式用チャペルを見ると、何もかもが適当な模倣品に見えてしまうのです。

日本の結婚式用の教会風建造物と、フランスの教会を比較してみましょう。以下は、筆者が散歩中に通りがかったことのある日本の結婚式場の写真です。

美しいと感じる人も多いのかもしれませんが、キリスト教の宗教施設ではありません。

以下は、筆者が暮らしていたフランスの街の教会の写真です。

フランスは、各街に必ずと言っていいほど教会があります。小さな街の教会でさえ、これだけ立派なのは、フランスがキリスト教の国だからです。結婚式のためだけに建設された教会風の謎の建物は、歴史もなければ宗教的・文化的背景もないため、浅はかに見えてきます。


まとめ 【会場】そもそもキリスト教の教会ではない

日本の結婚式用のチャペルは、宗教的意味合いはない。
キリスト教の教会の模倣品である。

【進行人】神父ではなくて、ただのアルバイト

キリスト教”風”の結婚式では、欧米人の神父のような人が登場することが多いようです。しかし、彼はほとんどの場合、神父ではありません。

え!神父じゃないってどういうこと!?

キリスト教のことをしっかり知らないと、分からないよ。

神父・牧師とは

そもそも、神父と牧師は異なります。

知っ得メモ🗒️

神父も牧師も、キリスト教の聖職者を表す言葉。

神父:カトリック教会の司祭に対する敬称 (英語では、father)
牧師:プロテスタント教会の教区・教会の管理や信者の指導をする職の人(英語では、pastor)

参考リンク:「神父」と「牧師」、どう違う?

歴史の教科書で「宗教革命」という言葉を聞いたことがあるよね。簡単に言うと、元々あったカトリック教会から、革命を通してプロテスタント教会が派生したんだよ。

カトリック教会の場合は、結婚は終生にわたる神聖なものだから離婚は認められないんだって。だから初婚の人しか式を挙げることができないよ。さらには、人工中絶や避妊についても否定的だったりと色々厳しいんだって。

フランスでは、兄弟がすごく多い家族を見て、「あ、きっと敬虔なカトリックの家族なんだね」なんて話すことがあったよ


カトリック教会の神父が、結婚式場に出向くことは無いようです。カトリックの信者で、初婚のカップルの場合のみ、カトリック教会で挙式することができます。

一方で、プロテスタント教会はカトリックより自由です。牧師が結婚式場に出向くことも、宗教を広めるという観点から許されているようです。


牧師”風”のアルバイト

プロテスタント教会の牧師であれば、挙式を行うことができることが理解いただけたところで、残念なお知らせです。それは、キリスト教”風”結婚式には、牧師が来るわけでは無いと言うことです。

牧師さんならOKってことだったのに、どういうこと?混乱してきた!涙

そもそも宗教的意味合いがないから、誰でもOKってことみたい…

外国人留学生や働いている外国人労働者が、休日にできるアルバイトとして人気のようです。
彼らがキリスト教なのかは全く問われず、応募要件としては見た目が”外国人”であることが重要なようです。そしてそれは東南アジア人ではなく、欧米人であるということだと想像します。

まとめ 【進行人】神父ではなくて、ただのアルバイト。

誓いを見守る外国人は、アルバイトが多い。キリスト教徒かどうかは問われない。

最後に

新郎新婦が幸せなら、それでいい。
家族が満足しているなら、それでいい。

というのが結論だと思います。

一方で、世界の各国の伝統的な結婚式の執り行い方を踏まえると、最近の日本のキリスト教”風”の適当な式は歪であると考えます。欧米文化に対する過度な憧れや白人至上主義に基づいた広告が、功を奏してできた新たな結婚式だと思います。


筆者は、20代女性ですが、チャペルでの結婚式に憧れる気持ちは全くありませんでした。
憧れない理由は、フランスでの暮らしを通して、キリスト教信者と教会の関係を見ていたからだと思います。個人的な宗教観としても、「イエス・キリストが救世主である」と心から信じているわけではないため、教会での結婚式は自動的に選択肢から除外されました。

ある日突然、フランス人が神社風の不思議な建物をあちこちに作って、神道とは何か全く知らないけれどもフランスで白無垢を着て神社で結婚式をし始めたら変だと思いませんか?


その逆を日本でやっているわけです。とても不思議です。


それでは、また!🧐