【ブラジル】カシューナッツには毒がある!1果実1ナッツなのに大量に売られているワケ
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【ブラジル】カシューナッツには毒がある!1果実1ナッツなのに大量に売られているワケ

日本でもよく見かける「カシューナッツ」 さて、あなたは「カシューナッツ」の実を見たことがありますか?「カシューナッツ」に毒があるって知っていましたか? 身近な食材なのに全く正体が知られていない「カシューナッツ」について、 ブラジル出身の友人が教えてくれえた秘密をご紹介したいと思います! カシューナッツ 日本のスーパーに必ずあると言っても過言でない、カシューナッツ。食べたことが無い人はいないのではないでしょうか? 一方で、カシューナッツの実を見たことがある方は少ないかもしれません。 日本では栽培されていないカシューナッツの実、その名も「カシューアップル」をご紹介したいと思います。 カシューアップル こちらがカシューナッツの実です!原産は南米ブラジルで、世界に広まったのは16世紀頃。ポルトガル人がブラジルを植民地化した頃に世界に広めたそう。 上についているベージュの部分にナッツが入っています。こんな大きな実に対して、こんな小さいナッツがついているとは驚きです。 そして、ベージュの部分には、毒があります。生のまま食べることはできません。 半分にカットすると、こんな感じです。実の部分はそのまま食べることができます。 果実は、スポンジ質で、噛むと「じゅわー」と果汁が出てきます。甘味もあるけれど苦味もある独特な味でした。 (残念ながら筆者はひとくち食べて、あとは遠慮しました…笑 ごめんなさい。) カシューナッツを作るプロセス そんな思いでYoutubeを覗いてみたら、以下のようなドキュメンタリー動画が出てきました。 カシューナッツが日本のスーパーに並んでいるのは、この動画に登場する女性がしているような過酷な労働の上に成り立っているのだと想像しています。 小さなナッツが大量に並んでいることにも、社会の「毒」を感じます…カシューナッツの他にも、貧しい地域の人々を利用して、裕福な地域に届けている食品や製品などが沢山ありそうです。 それにしても、ナッツを取られた実の部分は、その後どうなっちゃうんだろう…. それでは、また。🇧🇷

【ブラジル】今日も燃え続けているアマゾンの森林 – 無関心による破壊
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【ブラジル】今日も燃え続けているアマゾンの森林 – 無関心による破壊

「今、アマゾンの森が燃えている」と聞いて、あなたは驚きますか? いままでの人生の中で、森林破壊の問題について、どこかで耳にしたことがあるはずです。アマゾンの森に火を放ち、そこで農業をする「焼畑農業」と、それが国際社会で問題として取り上げられたということを。 そうなんです。なんとアマゾンの森は、今日も燃え続けています。(2023年11月現在) 今回は、私たちがアマゾン川流域に滞在した際に、現地の人から聞いた話に基づいて「アマゾンの森林破壊」についてご紹介します。 アマゾンの土地は痩せている 燃えている話の前に、まずはアマゾン川流域の土地について、お話したいと思います。 アマゾンといえば、広大な森林と雄大な河をイメージするかと思います。そして、鬱蒼と茂る緑から、アマゾンの土地が栄養価が高い肥えた土地だと思うことでしょう。アマゾン地域を畑にしたら、放っておいても草木がどんどん成長しそうですよね? 残念ながら、アマゾンの土壌に栄養価は殆ど無いんです。 理由は簡単。「植物が全て吸収している状態」からです。 アマゾンの森林では、 ・木々から葉が落ちる、老木が倒れる・葉や木が腐って栄養となる・栄養を使って木が育つ という循環を繰り返し続けています。 その循環の中にある「栄養」がどこに留まっているかというと、土ではなく、植物になのです。 「アマゾンを燃やして農業をする」と、さぞかし良い農作物が簡単にできるようなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし残念ながら、焼畑農業をした土地を継続利用することは難しく、大量の肥料を購入して利用し続けないことには、農作物が育たない環境なのです。 アマゾンの森を通る道路から枯れてゆく アマゾンの土地が痩せているため、栄養循環の鍵が「葉や木が腐る」ということは、想像いただけたと思います。 そして「葉や木が腐る」ためには、湿度が必要です。実際に、アマゾンの森林の中は湿度が高く、菌類も繁殖しやすい状態だそうです。 一方で、人間の生活範囲を広げるために道路などを建設すると、道路と隣接する部分が外気に触れて、湿度が一気に低下します。道路に面している部分の森林は、乾燥して「葉や木が腐る」スピードが遅くなってしまいます。 <おまけ> ちなみに、2023年11月9日現在、アマゾン近郊のマナウスでは “酷暑警報”が発令されています。道路が焼けるような暑さになる事で、森林が保っていた水分がどんどん蒸発してしまいます。 私たちがマナウスに滞在していた期間、アマゾン川の水量が日々減少しているのを目の当たりにしました。 今、アマゾンの森が燃えている 今、本当にアマゾンの森は燃えています。(2023年11月現在)日々、燃えている/燃やされている状態です。 マナウス在住の友人によると、私たちがアマゾン近郊の街 Manaus マナウスに到着した1週間前は、アマゾンが燃えている煙で街の空気が霞んでいたそうです。 どのような理由で燃えているのか、2パターンに分けて見てみましょう。 理由1:自然に発生する森林火災 森林火災というキーワードを近年よく耳にするようになりました。2023年8月にハワイのマウイ島で森林火災があった事は、日本でもニュースになっていたと思います。 アマゾンの森林でも、森林火災は発生しています。本来であれば、高湿度を保っている森林ですから、森林火災が大規模になることは稀でした。ただ、前述した通り、道路などを多数建設したことが原因で湿度が下がってしまった部分は、大規模火災に発展してしまうようです。 理由2:人工的に発生させる森林火災 人工的に発生させる森林火災、それは「焼畑農業」です。森林を燃やして土地を開拓し、そこで農業を営む。ただし、問題があります。皆さん既にご存知の通り、「アマゾンの土地は痩せている」という事です。継続してその土地を使い続けて農作物を育てて利益を得るためには、大量の肥料を仕入れる必要があります。 とある店舗の所有者が「利益を二倍にしたい、何か方法は無いか。」と言った時、「簡単です。店舗をもうひとつ増やせば良い」と、答えた… なんて珍回答を聞いた事がありますか。(ありませんか。笑) そんな要領で、アマゾンの別の土地が更に燃やされるという事態が、今現在発生しています。 <補足> 実は、「焼畑農業」という手法は、最近始まったわけではありません。先住民族が伝統的に利用していた方法でした。しかし、資本主義に基づかないその伝統的な農業の方法は、持続可能な農業手法で、アマゾンの森林を減少させることなく人と森林は共存し続けていました。そして、現在でも焼畑農業を活用した持続可能な農業手法を続けている住民も多くいるそうです。 以下、先住民族の友人談アマゾンの森林を破壊しているのは、ドイツ系ブラジル人が経営する企業が多い。一辺倒に焼畑農業を批判するのではなく、先住民族が伝統的に続けてきた持続可能な農業手法は守りつつ、利益を追求するが故に発生する大規模焼畑農業は批判するべきだと思う。 ブラジル政府を変えられるのはブラジル人だけ と、思ったアナタ。残念ながら、ブラジルの選挙での投票権が無い限り、”直接的”に関与するのは難しいです。それは、現在のアマゾンの焼畑農業を推進しているのは、ブラジル国民に選ばれたブラジル政府だからです。 資本主義の社会で、富を求めて事業を行うのは普通のことです。アマゾンの土地も、富を求めて開発され続けるわけです。 マナウス在住の友人曰く、現在のブラジル政府がアマゾンの焼畑農業を完全に禁止する政策を打ち出す事は、現時点ではどうやら無いようです。 マナウス在住の友人はアマゾンの森林減少を危機感を持って語ってくれましたが、違う地域のブラジル人も同様に危機感をもっているかというと、そうとも限らないようです…。 社会問題と向き合う時に心に留めておくべき二宮金次郎の言葉 アマゾンの森林に関する問題をご紹介しました。「地球の肺」とも言われるアマゾンの森林を守りたい気持ちは山々ですが、「守ろう!」というだけでは解決しない問題だと思います。 モヤモヤする気持ちだけを与える記事になってしまったかと思いますが、ここで1つ二宮金次郎の言葉を書いて締めたいと思います。 道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は戯言である。 経済の観点が伴う問題解決策を唱えなければ、アマゾンの森が消えてなくなるまで、人間が吸う酸素がなくなるまで、残念ながら森は燃え続けるのだと思います。 (もしくは「森林破壊」が「道徳なき経済」と判定されて、犯罪行為として認められたらいいのか….難しいです。) ⚠️注意 筆者は、ブラジル社会の専門家ではありません。筆者が現時点で得た情報と、筆者の視点に基づいて記載していますこと、ご了承ください。 より深くブラジル史を知りたい方は、ぜひ以下の本をご参考ください。 ブラジルの歴史を知るための50章 伊藤…

【ブラジル】“本当の”ブラジル人が差別を受ける人種差別問題
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【ブラジル】“本当の”ブラジル人が差別を受ける人種差別問題

あなたが日本人で、日本で暮らしているならば、自分自身が人種差別されることは勿論ないでしょう。一方で、ブラジル人がブラジルで暮らしていても、人種差別を受けることがあります。先祖代々ブラジルで生きてきた、歴史ある由緒正しい家系の「本当のブラジル人」だったとしても。 今回は、ブラジル出身の友人が語ってくれたブラジルの人種差別問題についてご紹介したいと思います。 ブラジルの人種構成 ブラジルは、様々な人種で構成されています。街中を歩いている時も様々な人種と出会うことができる、いわゆる「人種の坩堝」です。2010年の統計では、構成比率は以下のようになっています。 ブラジルにおける人種構成 ◾️メモブラジルの人口における先住民族の割合は0.4%とかなり少ないということを、覚えておいていただけると、この後の話が理解しやすいと思います。 ブラジルの奴隷と移民 先住民族以外の人種は、主に1500年代以降にブラジルに渡った移民です。 現代社会でもなお、人種差別が色濃く残っている国は多々ありますが、ブラジルも例外ではありません。1500年以降に移民してきた白人の方が、「本当のブラジル人」とも言える先住民族の人たちよりも社会的立場が高いことが多いのです。先住民族だけでなく、黒人も同様に虐げられてきました。ポルトガルによる悪政により、世界で一番黒人奴隷を輸入していた国は、ブラジルだったことをご存知でしょうか。また、アメリカの奴隷解放宣言に続き、次々と南米各地で奴隷は解放されましたが、最も対応が遅かったのが、ブラジルだったのです。 300年以上続いた奴隷制度と白人至上主義の影響が、今なお残っているのが現在のブラジルです。 さて、実は日本からも、たくさんの人がブラジルに移り住んでいました。1908年の笹戸丸の集団移住を初めとして、沢山の客船が太平洋を行き来し、20万人を超える移民者を記録しました。 そんな疑問があるかもしれません。 悲しいことに回答は、一言で言うと「肌の色が黒人より明るいから」と言えます。ブラジルの歴史を振り返ると、ポルトガルに植民地化されて以降、国の政策等から明確に読み取れる程に白人至上主義が横行していました。 <おまけ> 豊臣秀吉がキリスト教を禁じた事は有名ですね。禁止した背景にはポルトガルやスペインの奴隷貿易があったことをご存知ですか。 豊臣秀吉は、イエズス会の最高責任者に以下の4つの質問状を送り、その後追放令を突きつけました。 <豊臣秀吉の質問状>一つ、なぜかくも熱心に日本の人々をキリシタンにしようとするのか。一つ、なぜ神社仏閣を破壊し、坊主を迫害し、彼らと融和しようとしないのか。一つ、牛馬は人間にとって有益な動物であるにもかかわらず、なぜこれを食べようとするのか。一つ、なぜポルトガル人は多数の日本人を買い、奴隷として国外へ連れて行くようなことをするのか。 もし、豊臣秀吉がキリスト教を禁止し、奴隷貿易を止めていなければ、ペルーのインカ帝国の神殿のように、日本の神社やお寺は全て破壊されてキリスト教の教会となり、メキシコのアステカ帝国の首都テノチティトランのように、徹底的に破壊されてヨーロッパ調の建物に建て替えられ、さらには、大量の日本人が奴隷になっていたかもしれません。 参考記事:「日本人の奴隷化」を食い止めた豊臣秀吉の大英断 インディオと黒人に対する人種差別 インディオ差別 「本当のブラジル人」と呼ばれるに相応しい、先住民族のインディオですが、人種差別の対象になっています。 インディオである友人が、数十万円するマウンテンバイクを購入する時の話。 マウンテンバイク店の定員の態度が客の肌の色で異なるといいます。実際に白人の客には、すぐに定員がアテンドして商品説明に励むのにも関わらず、インディオである彼には誰もアテンドしない。彼のことを無視して、誰も商品案内をしない。 彼曰く、それは日常茶飯事で、インディオである彼に対してもしっかりと説明してくれた店舗で、購入するようにしているとのことでした。 黒人差別 インディオである友人のクライアントだった、とある黒人系イギリス人の話。 黒人系イギリス人が「ブラジルは人種差別が酷い国だ」と憤慨していたそう。どんな差別を受けたのかよくよく話を聞いてみると、黒人であるだけで疑いの目をかけられるのだと言います。例えば、お店に入る度に、警備員が彼の後ろについてまわる等。他の人種の場合は、警備員は動かないのに、黒人である彼が入店すると、警戒してついてきたとのこと。 インディオの彼は、笑いながら「残念だけど、ブラジルではよくあることだ」と伝えたそうです。 現代社会 インディオの友人の視点 と私が言うと、彼は少し笑いながら答えました。 私たちの唯一の灯りである焚き火がパチパチと響くアマゾンの森の中で、それから、彼はこう言いました。 もうすぐ産まれる彼の娘が生きる時代は、更に良い時代になりますように。 そんな事を祈りつつ、私にできることは何かを考えながら、この記事を締めたいと思います。 ⚠️注意 筆者は、ブラジル史の専門家ではありません。筆者が現時点で得た情報と、筆者の視点に基づいて記載していますこと、ご了承ください。 より深くブラジル史を知りたい方は、ぜひ以下の本をご参考ください。 ブラジルの歴史を知るための50章 伊藤 秋仁 (著, 編集), 岸和田 仁 (著, 編集)  それでは、また。🇧🇷